芸予地震を中心とした大気イオン前兆異常の表示法

 

岡本 和人・弘原海 清・原口 竜一・井田 佳伸・和佐 好智

 

 岡山理科大学では大気イオン(帯電エアロゾル)を連続計測している.計測しているイオンは正負のそれぞれ粒径によって分類される小,中,大イオンの6種類である.このうち,地震に関係しているのはプラスの大イオンである.

 これまで,計測された数値を1週間のダイアグラムにしていた.小・中規模地震ではこのダイアグラムの期間内に地震が起こったが,鳥取県西部地震や芸予地震では前兆異常が発生してから1週間以上経過してから地震が発生した.

 そこで,より大きな変化をつかむために3か月間のダイアグラムを作った.このダイアグラムでは芸予地震前のプラス大イオンの異常をつかむことができた.

 さらに,鳥取県西部地震のような大地震ではより一層早くから前兆異常が現れるので,1年間のダイアグラムを見ることによって前兆異常をつかむことができる.

 以上のように,小・中地震では1週間,中地震では3か月,大地震では1年間のダイアグラムを使い分ける必要がある.