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地震危険予知プロジェクト
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沿岸地域における津波警戒の徹底について

 

平成11年7月12日

津波対策関係省庁連絡会議

内閣官房

警察庁

防衛庁

国土庁

農林水産省

運輸省

海上保安庁

気象庁

郵政省

建設省

消防庁
 


日本海中部地震及び北海道南西沖地震の経験に鑑み、津波に対する防災体制の点検、防災意識の向上等、津波に対する警戒を全国的に強化するため、関係省庁は、津波警報関係省庁連絡会議を設置し、平成5年11月24日、「沿岸地域における津波警戒の徹底について」を申し合わせたところである。

この申し合わせに基づき、関係省庁は所要の措置を講じ、津波に対する警戒の徹底を図ってきたところであるが、平成5年の申し合わせ後の技術の進展を踏まえると共に、津波に対する事前の備えや避難、救助体制の重要性を鑑み、今後も津波対策を総合的に推進していく必要がある。このため、関係省庁は津波警報関係省庁連絡会議を発展させた津波対策関係省庁連絡会議を設置し、その対策について協議を行ったところであり、協議の結果を下記のとおり申し合わせる。

また、関係省庁は、この申し合わせ事項の周知徹底及び地域の実態に即した津波対策の確立について、それぞれ関係機関に対し、引き続き指導するものとする。さらに、関係省庁は、津波対策全般について、引き続き調査、検討を実施し、所要の措置を講ずるものとする。

なお、平成5年11月24日付け申し合わせ「沿岸地域における津波警戒の徹底について」は廃止するものである。

 


 

1.事前の備え

(1)津波防災対策

国、都道府県及び市町村は、気象庁の津波予報に対応した津波災害応急対策を実施するための準備を行う。

なお、都道府県及び市町村は、浸水予測図を活用する等、地域の実情に応じた津波対策を検討し、住民に対して周知を図る。

 

(2)防災施設の整備

海岸、河川における堤防、水門等の防災施設の整備を推進する。また、地域の実情に応じて潮位、波高等の観測及び情報処理システムの整備を推進し、それらを活用した津波防災施設の高度化を図る。

 

(3)防災訓練

津波に備えて常日頃から地域防災計画等に基づき、地域住民等と連携した防災訓練に努める。

 

2.津波警報

(1)津波警報発表の迅速化

気象庁は、津波警報等の発表の一層の迅速化を図り、近海で発生する地震については、地震発生後2〜3分程度で津波警報等の発表を行うことを目標として所要の措置を講ずる。

 

(2)津波警報伝達の迅速化、確実化

所定の伝達経路及び伝達手段を点検し、隘路を把握し、津波警報がより迅速に市町村に伝達されるよう改善措置を講ずる。

ア 気象庁から都道府県を通じ市町村への津波警報の伝達は、中継点を少なくし、伝達の迅速化、確実化を図るとともに、気象庁、都道府県、報道機関等関係機関は、オンラインや衛星を活用した緊急通信基盤の整備を進める。

イ 警察庁は、市町村への通知を、原則として、警察署から行うこととする。

ウ 休日、夜間、休憩時等における津波警報伝達の確実化を図るため、関係機関は、要員の確保等の防災態勢を強化する。

エ 津波警報、避難勧告・指示等の伝達については、関係機関は、あらかじめ漏れのないよう系統、伝達先を再確認しておくものとする。この場合、多数の人出が予想される漁港、港湾、船だまり、ヨットハーバー、海水浴場、釣り場、海浜の景勝地等行楽地、養殖場、沿岸部の工事地区等については、あらかじめ沿岸部の多数者を対象とする施設の管理者(漁業協同組合、海水浴場の管理者等)、事業者(工事施工者等)、及び自主防災組織と連携して、これらの者の協力体制を確保するように努めるとともに、日頃より過去の実例等により啓発活動を行うよう努めるものとする。

 

(3)情報・通信手段の確保

広範かつ確実に津波警報の伝達を図るため、情報・通信手段の多様化、確実化を図る。

ア 海浜にでかけるときは、ラジオ等を携行し、津波警報、避難勧告・指示等の情報を聴取するよう指導する。

イ 放送局が発射する特別の信号を受信し、テレビやラジオのスイッチが自動的に入り津波警報等の情報を受信することができる、緊急警報放送システムの受信機の普及を図る。

ウ 住民等に対する津波警報等の伝達手段として市町村防災行政無線(同報系無線)の整備を推進するとともに、サイレン、半鐘等多様な手段を活用することにより、海浜地への警報伝達の範囲の拡大に努める。

エ 防災関係機関相互の迅速かつ的確な津波警報等災害情報の収集伝達を行うため、@都道府県防災行政無線、A市町村防災行政無線(移動系無線、地域防災無線)及び、B市町村、警察署、消防署、海上保安部署等の防災機関が災害現場で相互に通信するものとしての防災相互通信用無線の整備を引き続き推進する。また、船舶については、特に、小型漁船を重点として、無線機の設置を促進する。

オ 重要通信の確保の対象機関(電気通信事業法施行規則第56条に掲げる機関)については、災害時の被害状況把握・迅速な救援活動等に資するため、郵政省がその機関を具体的に指定する。

 

(4)津波警報伝達等訓練の実施

地域毎に関係機関合同の津波警報等伝達訓練を実施し、通信機器等に関する不慣れの解消、誤伝達・伝達漏れの防止等を図る。

この訓練は、報道機関の放送による津波警報の伝達等をとり入れ、実践的に行うこととする。

 

3.避難

(1)津波警戒の呼びかけ

「強い地震等を感じたら、住民等は海浜から離れ安全な場所に避難すること、船舶は港外に避難すること」を基本として、別紙広報文の例により、津波警戒に関する周知徹底を図るものとする。

政府又は関係省庁における通常広報、防災週間広報、県市町村広報等を活用して周知徹底を期する。

 

(2)避難勧告・指示

ア 強い地震(震度4程度以上)を感じたとき又は弱い地震であっても長い時間ゆっくりとした揺れを感じたときには、市町村長は、必要と認める場合、海浜にある者、海岸付近の住民等に直ちに海浜から退避し、急いで安全な場所に避難するよう勧告・指示するものとする。

 イ 地震発生後、報道機関から津波警報が放送されたときには、市町村長は、海浜にある者、海岸付近の住民等に直ちに海浜から退避し、急いで安全な場所に避難するよう勧告・指示するものとする。なお、放送ルート以外の法定ルート等により市町村長に津波警報が伝達された場合にも、同様の措置をとるものとする。

 

(3)避難場所

ア 避難場所・避難路については、浸水域を想定し、地形・標高等の地域特性を十分に配慮した整備を図る。避難場所としては、公共施設の他、地域特性を考慮して、民間ビルの活用など種々の検討を行い、より効果的な配置となるよう努める。

イ 地域防災計画に定める避難場所や避難路について、当該地域を管轄する国の機関は、あらかじめ把握しておき、実践的な支援対策を検討しておく。

 

(4)災害弱者及び外来者の避難

ア 災害弱者の避難を補助するため、自主防災組織、消防団、近隣者を含めた避難の連絡方法や避難補助の方法をあらかじめ定めておく。

イ 観光地や海水浴場等外来者の多い場所では、駅・宿泊施設・行楽地に住民用浸水予測図の掲示、避難場所・避難路の誘導表示などにより、周知を図る。

 

(5)被害状況の把握・共有化

ア 被害状況を映像として早期把握することができるよう、ヘリコプター及び画像伝 送システムの整備を推進する。また、様々な通信手段を用いた、ネットワーク化さ れた情報システム構築の検討を進め、防災情報・被害情報の共有化を図る。

イ 救助にあたっては、関係省庁相互の情報を生かし、防災機関との連携を図る。