地震危険予知プロジェクト |
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Precursory quake-Information System by Citizen's Observation on Web | |||||||||||
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地震前兆的物質;SPM中の212Pb以後の放射線をGM計数管で測定できる可能性
−市民ベースの全国観測網は可能か−
(岡山理科大学)○井田佳伸, 平井麻理子, 葉山義仁, 福森洋平, 蜷川清隆, 弘原海清
(Abstract) We detected radioactive nuclei of thorium series 212Pb by a low background Ge-LEPS γ-ray detector and the high intensity of radiation by the Geiger-Muller(GM) counter in the suspend particulate matter (SPM) collected from the air. A life time of 212Pb is short (10.6 h) and sensitivity is high. It is able to discliminate if the measurement of 10-30 minute intervals carried on SPM by GM counter. Construction of the national observation network for radioactive SPM environment of citizen base is available since the GM counter is so popular and simple as for this method and can expect so quickly spread through Japan.
1.浮游粒子状物質SPM中のトリウム系列娘核種自然大気の浮游粒子状物質(SPM)を粉塵用フィルター(径60mm、捕集効率0.312μm)を用いて集塵した。24時間の集塵直後にSPMがGM計数管で強い放射線強度を示すことが明らかとなった。このSPMを岡山で毎日40日間採集し、Ge-LEPSで80000秒計測してトリウム系列娘核種が原因核種であることを確認した。このトロン系核種の212Pbは半減期が10.64時間であり、GM計数管による連続計測での見かけの半減期は10〜5時間の値を示した。但し、5月27日の再計測ではこの半減期は74分で、最終娘核種の212Biの60.55分に近い値であった。放射平衡にあるトロン娘核種の半減期は理論的には一定(10時間)の値を示すべきであるが、拡散中の経時的な減衰変化が見かけの半減期に現れている。
Fig1 The radioactive nuclei of the thorium series Fig2 Average diurnal variation of activation concentration ,density of ion density and count with GM counter
Fig3. Trace of reduction activity through a half-life radiation monitor by the GM counter
2.市民ベースの全国観測網の可能性と展望
少なくともウラン系列の210Pbの22年に比較して圧倒的に短く、10分〜30分間隔のGM計数管計測でトロン娘核種は容易に識別できる。212Biより前の212Pbの娘核種の半減期(約10時間)が計れるとき、出始めの強い放射能は引き続く強い地震の前触れである可能性を示す。
家庭用掃除機でSPMを集塵し(今回の主要実験装置)、教育機関や研究機関で広く普及しているGM計数管(今回は借り物)を使って自然放射能計測ができれば、市民ベースの全国観測網の構築が可能になろう。既にSPMによる環境計測は東京、大阪、名古屋などの主要自治体でおこなわれており、市民の大切な粉塵環境の指標となって いる。この毎日の計測業務で職員作業者の放射線被曝を知るためGM計数管がモニターとして使われている。行政がこの際の情報を公開されることを期待したい。この10時間近い半減期を確認した放射線強度は都市の粉塵汚染の影響を受け難いので、大都市で直接に地震予知する際に、簡単・安価・広域(半径250km)・誰でも可能な手法として今後の研究が必要不可欠である。引用文献
(1)児島 紘(1995) エアロゾル研究、10(4), 265-270
(2)北川 信一郎(1995) 大気電気学、東海大学出版会
(3)岡山理科大学地震危険予知研究会(1998-2002) http://www.pisco.ous.ac.jp