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地震危険予知プロジェクト
Precursory quake-Information System by Citizen's Observation on Web 
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宏観異常による地震予知の可能性

S93S125 中村 元彦
S93S185 米沢 剛

 中国の3千年の被害地震の研究から、地震の前に自然や動物の異常現象が住民により数多く観察されている。これを宏観異常と呼ぶ。一昨年の兵庫県南部地震の直前にも、この宏観異常が同様に観察された(弘原海、1995)。また、日本の歴史被害地震でも、東京大学地震研究所を中心に詳細な調査が行われ、多くの宏観異常データが集積されていた(力武、1986)。これら宏観異常のすべてのデーターを検討した結果、日本全国での宏観異常の観察と情報提供が住民の協力で実現すれば、地震予知の可能性に道が開ける。残された問題として、情報の収集と処理、結果の予報をいかに敏速に、全国規模で展開するかにかかってくる。

 本研究所では、このような情報の収集・処理・予報にインターネットを活用したシステムを考え、そのような地震危険予知システムを実現するための予備的な作業を行った。研究はおおよそ次の4つのステップからなる。
(1) 日本の被害地震の宏観異常と先行時間の関係をグラフにまとめた。
(2) 中国の松藩−平武地震(1976.8、予知に成功)を例に、宏観異常の出現量と先行時間の関係を日変化モデルにまとめた。
(3) いろいろなマグニチュードの地震と宏観異常の出現の関係を概念モデルで示した。
(4) 日本全国25年間の年平均の地震発生状況(M7以上が2個、M6〜M6.9が12個、M5〜M5.9が94個)を組み込み、宏観異常出現と地震発生状況の想定される関係を図式モデルにまとめた。
これら(1)〜(4)を基に、宏観異常情報の収集と危険予知情報の発信の流れを考察する。
なお、このシステムは地震そのものを予知するのではなく、宏観異常による地震危険予知であり、宏観異常の増大、強異常、超異常情報に対する対応は、基本的に自己責任を原則とする。すなわち宏観異常を信じない住民も、現在のところかなり高い割合で存在する。また、このシステムの運用的な実験は将来の課題である。