トップページへ  
地震危険予知プロジェクト
Precursory quake-Information System by Citizen's Observation on Web 
インデックスページ 要注意情報、お知らせ、履歴 PISCOの紹介 大気イオンや宏観異常による地震危険予知 掲示板
用語辞典 リンク集 サイトマップ

鳥取県西部地震の前兆異常現象としての大気イオン濃度変化

岡山理科大学大学院理学研究科
総合理学専攻 原口 竜一

大気イオン変化と地震
大気イオン(帯電エアロゾル)が地震前兆の一つであるとの考え方は従来からも存在していた(H.Tributsch,1983)。しかし、実際の地震で機器計測されたのは兵庫県南部地震が最初である。この前兆異常と地震の関連性は報告されている(薩谷,1996)。現在、岡山理科大学の本研究室では、大気イオン濃度変化と地震発生の関係を定量的に確かめるため、イオン測定器を1997年に導入し、同年10月より約3年間24時間連続で観測を行っている。

大気イオンの計測
大気イオンの電荷は正負ともにあり、この電気的な性質と粒度によって異なった電界の影響を受けて移動する。さらに移動速度(移動度)は電界の強さでも変わる性質がある。本研究室では、この性質を利用した神戸電波製イオン測定器(KSI-3500)を使用している。この測定器は計測電界を制御して移動度(電気移動度)を変えながら大気イオンを正、負、粒度別にチャンネル1、2、3に分けて、約30分を1つのサイクルとして連続計測が可能である。

大気イオン変化による大地震前兆の認識
昨年発生した鳥取県西部地震(2000.10.6;M7.3)は非常に大規模なものであった。震央距離も岡山理科大学から約80kmと大変近くであった。そこでこの地震を大気イオンと鳥取県西部地震前の微小地震データを使用して検証してみた。

その結果、2000年6月22日〜7月15日にかけてプラス側の大イオン濃度が著しく変化した。この期間のデータを一年間のイオン濃度変化の時系列グラフで見ると、この期間以外ではこれほど顕著な変化は見られない。この期間大イオン濃度のプラス側の最大値は6月22日に記録した11105(個数/cc)である。その他、7月11〜15日に計8回の3000以上の大きな数値が計測されており、この期間の最高値は9750(個数/cc)であったこの地震の発生する一年前までの平常値は1000〜2000(個数/cc)、 3000(個数/cc)以上の値は23回である。

今後の課題
今回の検証では岡山理科大学の1点で観測されたデータを用いた。現在では、これ以外の観測点は存在しない。今後、観測点が増強される予定があるので、それらの結果を総合すればより確度の高い成果が期待できる。その他、すでに過去3年間の大気イオン濃度データが保存されているので、これを使用して時系列解析的な手法で地震と大気イオンの関連性を解明したい。


論文