トップページへ  
地震危険予知プロジェクト
Precursory quake-Information System by Citizen's Observation on Web 
インデックスページ 要注意情報、お知らせ、履歴 PISCOの紹介 大気イオンや宏観異常による地震危険予知 掲示板
用語辞典 リンク集 サイトマップ

 

季節風による帯電エアロゾルへの影響

I98G001 安達 由朗

はじめに
 イオンやエアロゾルの移動に大きな影響をもたらす風との関係について,本研究室では研究を進めてこなかった.そこで,風による影響が計測値にどう表れるか,現段階でわかっていない.大気中を漂う浮遊物を対象にした研究なので,日本のみでなく地球を取り巻く大気循環を考慮にいれ,風のもたらす影響を考える必要がある.

図1 99〜01年大イオン濃度月別推移

方法

 イオンの計測値にどのような特徴があるのか,1999〜2001年の過去3年間の大・中・小イオン濃度の月平均グラフを作成した(図1).中・小イオン濃度は年を通してほぼ一定の値を示し,目立った変化はみられなかった.一方,大イオンのグラフには規則的な変化がみられた.その変化とは,年単位スケールで,夏季・冬季に平均値が高いというものであった.夏季と冬季に計測値が上がっていることから,季節的な要因である季節風に注目した.そこで,岡山理科大学ににおける季節風と帯電エアロゾルの関係性について検証することにした.
 ここで,粒径については,大イオン:0.02〜0.007μm,中イオン:0.007〜0.002μm,小イオン:0.002μm以下である.

結果
 冬季については,冬季季節風による中国大陸の工業地帯から大気汚染物質が流入するのが主な原因と考えられる.夏季については,夏季の日射量をはじめとする他の気象条件が帯電エアロゾルにどのような影響を与えるか,現段階では本研究ではっきりしない.よって,夏季季節風はノイズの一要因候補と考えられる.

まとめ
 1999〜2001年の過去3年間における大・中・小イオン濃度の月平均グラフより,プラス大イオン平均濃度は年を通しておよそ500〜1300個/ccの範囲にある.この変動幅に季節風の影響があると考えられる.しかし,本研究室において地震危険予報では3000個/cc以上を問題としており,中・大地震の危険予知をする上で,季節風による影響は無視できると考えられる.
今後の課題
 データ量が過去3年間分と少ないため,今後さらにデータ量が増えていく中での検証が必要である.また人的影響,その他の気象条件での影響を検証することにより,多角的にノイズを除去する必要がある.

 

論文