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地震危険予知プロジェクト
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気象と大気イオン濃度との関係−日照・気圧−

I98G077 百田 大智

はじめに
 地震の前兆現象として兵庫県南部地震の前に大気イオン(帯電エアロゾル)濃度の変化が記録された(薩谷,1996).このことに着目し,本研究室では1998年4月より,24時間連続で神戸電波製ION ANALYZER KSI-3500を用い帯電エアロゾル測定を行っている.過去の研究(原口,2000)で,帯電エアロゾルは,気象との関係があると報告されている.そこで,気象の中で気圧と日照が,帯電エアロゾルに何らかの影響を及ぼしていると考え検証した.

方法
 今回,帯電エアロゾルの中でも,プラス大イオンの(日平均と月平均)と日照(日合計と月合計)・気圧(日平均と月平均)の関係を見るために,それぞれのグラフを作成した.

図1 1998-2000年プラス大イオンと気圧の月平均

結果
 右の図1より,気圧が高い場合プラス大イオンが低く,逆に気圧が低い場合はプラス大イオン高いことがわかる.しかし,図1の@では,気圧が上がっているにも関わらず,プラス大イオンは高い値のままである.また,日照に関しては日照時間の合計が,長い場合プラス大イオンの平均は,低い値が多く見られた.このことから,気圧の変化が,地面に及ぼす圧力に影響し,それによって帯電エアロゾル濃度が変化すると考えられる.日照は長時間,日が射し川や湖などからの水蒸気が発生し,プラス大イオンに影響を与えていると考えた.
 しかし,今回日照とプラス大イオンのグラフからは,関係を読み取ることはできなかった.今回調査した気象ノイズによるプラス大イオンの変化量は小さいので,地震危険予知の基準(3000個/cc以上)には影響しない.

まとめ
 今回使用した気象データは,岡山地方気象台のものである.今後は,岡山理科大学植物園に設置された気象観測器を使用し,イオン測定器に近い環境データを用いることで,相互関係より明確にできるであろう.さらに2001年と2002年のデータを処理し,その上で多点観測における気象データと帯電エアロゾルの相互関係の検討を確立する必要がある.
 次に,日照のみで検討したが,本来は日射のデータも検証する必要がある.このことをふまえ,より正確な地震危険予知を行う為に,帯電エアロゾルと気象ノイズを識別することが必要である.




論文