大気イオン
北川(1996)によると、大気は絶縁体ではなくわずかではあるが電気を流す。大気中で電気を運ぶものが大気イオンで、電界中におくと、クーロン力をうけて電界の強さに対応したある速度で移動する。大気イオンの濃度は、1立方センチ中の個数(個/cc)で表される。その大きさ(半径)から、小イオン(0.001ミクロン以下)、中イオン(0.001〜0.025ミクロン)、大イオン(0.025ミクロン以上)に分類される。1ミクロンは千分の1ミリである。
大気イオンと帯電エアロゾル
小イオンは移動度が大きく(1〜2p2 / V・sec)、まわりの微細なエアロゾル粒子(空を覆う“もや”の正体)の表面に付着して、正・負の電荷を持つ帯電エアロゾルを作る。この帯電エアロゾルの大きさ(粒径)は4桁にもわたるが、便宜的にエイトケン粒子(半径0.1ミクロン以下;中イオンと大イオンの一部)、大粒子(0.1〜1.0ミクロン;
大イオン)、巨大粒子(1.0ミクロン以上)に分類される。ここで取り上げる帯電エアロゾルはエイトケン粒子に相当する。
PISCOで使う大気イオンとは
岡山理科大の大気イオン測定器(KSI-3500;神戸電波叶サ)は正・負イオンについて、それぞれCH0で0点補正値、CH1で小イオン(粒径0.002ミクロン以下)、CH2で小・中イオン(粒径0.007ミクロン以下)、CH3で小・中・大の全イオン(粒径0.02ミクロン以下)の各濃度値(個数/cc)を数値で、30分サイクルで出力する。各粒度イオン単独の濃度は、それぞれ演算で求める。PISCOの大気イオン(帯電エアロゾル)とその特性は、この測定器による小・中・大イオン濃度(個/cc)の値とその比率で議論する。例えば、全イオンはCH3の値であり、大イオン混在比(LI%:large
ion %)は, 大イオン/全イオン % =(CH3-CH2)/CH3×100で計算する。
<イオン測定器の測定範囲とエアロゾル粒子径>
大気イオン