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新大気イオン測定器による地震予測開始 弘原海理事長 ごあいさつ

2008/09/01

 きょう、新しい大気イオン濃度測定器の地震予測を開始するにあたり、弊会理事長・弘原海清より皆様にごあいさつがあります。

 

皆様

新機種大気イオン濃度測定器による地震予測の開始にあたって

【はじめに】

 初秋の候、防災の日、皆様には益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 はじめに、この夏、相次いで東北地方を襲った「岩手・宮城内陸地震」や岩手県沿岸北部の地震により亡くなられた皆様に心よりお悔やみ申し上げるとともに、被災地の皆様には心よりお見舞い申し上げます。地震予知に取り組む者として、地震により人命が失われることは大変心が痛みます。また、"ゲリラ豪雨"とも称されるような局地的豪雨が列島各地で発生し、大きな被害が生じています。なにか地球が壊れてしまったのではとさえ思われる出来事が相次いで起こっています。

【新機種測定器COM-3700】

 さて、弊会e-PISCOでは地震予測の基本データとして大気イオン濃度を測定しています。私たちはこの大気イオン濃度を測定するための機器を独自に開発、4年間にわたって改良を重ねてきました。しかしながら、梅雨から初秋にかけての高温多湿の天候下で、ノイズを拾ってしまう問題は最後まで解決することができませんでした。このために、思い切った地震予測ができなかったことは否むことができません。私たちの活動に期待し、ご支援くださっている皆様に大変申し訳なく思っています。心よりお詫び申し上げます。
 そうしたなかで、今年の年頭あいさつでもご紹介しましたように、昨秋、東京・昭島市の測定器メーカー、コムシステム株式会社から私たちの活動に協力してくださるというありがたいお申し出を頂戴いたしました。それから半年以上にわたり、新機種測定器COM-3700を用いて、自然状態での測定、人工環境下での測定を重ね、この測定器が天候等の周辺環境の影響を受けにくく、これまでの測定器に比べて格段に優れ、地震予知にもっとも適していることが確定的となりました。
 我々は、8月1日より兵庫・川西および神奈川・厚木の両測定点での新機種COM-3700による測定値グラフを弊会ホームページ上で公開しておりますが、すでに他の5測定点につきましても旧来の測定器からCOM-3700に置き換えが終了しております。今後はCOM-3700による測定値を基礎データとして果敢に地震予知に取り組んでまいります。
 なお、COM-3700が未整備となっている千葉・南房総測定点につきましては、整備され次第、地震予測に活用致します。また、関係者の間で測定器の更新に合意形成ができなかった岡山・理大1および岡山・理大2の両測定点は廃止することになりました。

【これからの地震予測】

 私たちは測定器の更新を進めるなかで、これからどのようにして皆様に大気イオン濃度測定情報、地震予測情報を発信していくかを再検討してきました。これまで同様、大気イオン濃度を測定しているには違いありませんが、機器の特性を見極めるため、これまでの30分間平均値にこだわることなくさまざまな数値を比較検討しました。全国の各測定点からオンラインで連続的に常時送信されてくる測定器からの4秒ごとのリアルタイムデータをデータベースに自動的に保存致します。このリアルタイムデータから、主として5分間ごと75サンプルの平均値データファイルと、最大値データファイルを準備します。地震予測には前者の5分間平均値データを用いますが、必要に応じて後者の最大値データを補助的に活用します。ただし、すでに発生した大地震の後には、大気イオン発生のメカニズム、発生エリア、大気イオン空間移動などの詳細を解明するため、膨大なリアルタイムデータを時間をかけて解析を進めます。以上のような理由で、従来使用してきた30分間平均値は今後予測には使用しないことになりました。
 この約半年間の短い試験運用期間で新測定器COM-3700周辺で発生した地震との関係を調べた結果、震央との位置関係にもよりますが、
(1)通常1,000(個/cc)前後が10倍の10,000(個/cc)程度に増大して近傍の小地震の前兆になり、20,000(個/cc)を超えるとやや規模の大きな地震の前兆となる傾向が見受けられ、
(2)異常発生から地震までの先行時間は、小規模な地震では1週間以内、中規模以上の地震ではおおよそ2週間程度です。
(3)また通常、測定点と震央までの距離(震央距離)はおおよそ100〜200km程度ですが、さらに大規模な直下型地震では震央距離が数百キロに及ぶともありました。
(4)試験運用期間が短いので、海洋型地震・火山性地震など各種の違いなどはわかりません

 現時点では作業仮説として検討しながら認定基準を改良していきたいと思います。自然に起こる地震は多種多様であり、規模も大・中・小と様々です。これらのすべての地震のデータを蓄積しながら我々の基準を修正し、弾力的に運用していきます。なお、皆様に提供する情報は従来どおり、概ね下記のようにします。

(1)会員の皆様
メールアドレスをお持ちの会員の皆様には、全国に展開している測定点で大気イオン濃度が上昇した際、電子メールにてその旨をお伝えし、必要に応じて注意を喚起します。
(2)e&e FAX購読の皆様
弊会が情報提供し、株式会社ePI-NETに発行を依頼している「e&e FAX情報サービス」では、原則として毎週金曜日に、全国展開している測定点での大気イオン濃度情報と宏観異常情報、一元化震源をもとに、関東、関西両地域の地震危険度を判定し、弘原海が詳しくストレートな予測の解説を掲載します。
(3)サイト閲覧の皆様
弊会サイトの「要注意情報(イオン観測情報)」では、原則として、測定グラフを一般公開している測定点で顕著な異常値が記録された際にお知らせします。必要に応じて、他測定点の情報を掲載することもあります。また、実際に発生した地震と大気イオン濃度の関係についても検証し、報告します。

【おわりに】

 信頼に足る大気イオン濃度測定器による地震予測の開始は、弊会の解体的リスタートを意味します。私たちは背水の陣の思いで、国民の皆様の生命、身体、財産を守るべく、これまで以上に、確度の高い地震予測を目指してまいります。国民各位には私たちの活動にご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

平成20年9月1日 防災の日

NPO法人大気イオン地震予測研究会e-PISCO
理事長  弘原海 清(わだつみ きよし)

 

新機種測定器 COM-3700
COM-3700
 クラスター・イオンカウンターは、自然界に存在する小イオン、中イオン、大イオンを長期間安定に測定する事ができます。小イオンから大イオンまでの移動度を2000通り設定する事ができ、イオンの移動度分布も自動的に測定し作表する事ができます。0〜500万(個/cc)と充分な測定範囲とネットワークに対応したシリアル通信とLAN通信、記録計に接続できるアナログ2チャンネルを備えています。
 コムシステム株式会社 http://www.com-system.co.jp/

 
COM-3700による前兆捕捉事例(1)−茨城県沖の地震(5分間平均値)
発震日時 2008/05/08 01:45:18.7
震源 茨城県沖(36゜13.6'N 141゜36.4'E) 
震源の深さ 50.6km
マグニチュード 7.0
最大震度 5弱:水戸市内原町、茂木町小井戸
茨城県沖の地震(5分間平均値)
茨城県沖の地震
  
神奈川・厚木
震央距離
 
220km
先行時間
 
約30日
提供:神奈川工科大学工学部矢田直之研究室
震央地図
COM-3700による前兆捕捉事例(2)−神奈川県東部の地震(5分間平均値)
発震日時 2008/08/08 12:57:09.1
震源 神奈川県東部(35゜37.8'N 139゜32.2'E) 
震源の深さ 30.1km
マグニチュード 4.6
最大震度 4:伊勢原市下谷、川崎麻生区片平、町田市中町、八王子市堀之内
神奈川県東部の地震(5分間平均値)
神奈川県東部の地震
  神奈川・厚木
静岡・沼津
震央距離
24km
83km
先行時間
約3日
約3日
提供:神奈川工科大学工学部矢田直之研究室、富士通株式会社沼津工場
震央地図
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