徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部物理学教室が近く大気中イオン濃度の測定器を設置し、6月から観測を始める。地震と大気中イオン濃度の関係を研究している弘原海清・元岡山理科大学教授(73)が開発した測定器で、元教授が理事長を務めるNPO法人「大気イオン地震予測研究会」が結果を分析して地震予知を目指す。19日には弘原海元教授が徳大で講演、測定器の仕組みを学生らに紹介した。
測定器は、直径5センチ、長さ80センチの円筒形で重さ11キロ。本体に三脚を取り付けた形で、測定後、結果が自動的にインターネットで同NPO法人に送られ、分析される。これまでに千葉大学や神奈川工科大学のほか、民間企業など全国9カ所に設置されていて、設置者は互いに観測情報を共有できる。
弘原海元教授によると、地震発生前には元素の一つであるラドンのガスが地殻の割れ目から放出され、大気中でプラスイオンとなって変化してイオン濃度を上昇させるとされる。イオンは電気を帯びた分子で、通常は大気中に1立方センチメートル当たり3千個以下だが、1995年1月の阪神大震災前では1万5千個、今年5月8日に瀬戸内海中部でマグニチュード(M)4.2を記録した地震でも、5万個まで急増した測定地もあったという。
徳大では、物理学教室が測定器をレンタルし、測定結果を同NPO法人のホームページ(http://www.e-pisco.jp)で公開する。設置を決めた大野隆教授は「弘原海さんの理論に共感しており、設置によって南海・東南海地震の予知につなげたい」と期待している。
写真 学生らに大気中イオン濃度測定器を説明する弘原海・元岡山理大教授=徳島大図書館 |