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徳島大学大学院(徳島市)のソシオテクノサイエンス研究部物理学教室で29日、地震の発生に関連があるとされる大気中のイオン濃度の測定が始まった。地震の発生前、ラドンガスが地表から放出され、大気中のイオン濃度が上昇するとされており、濃度を調べることで、地震予知の手がかりをつかもうという試み。同教室の大野隆教授は「近い将来予想される東南海地震などの大地震の予知につながれば」と期待している。
<本記>
測定器は地震と大気中のイオンとの関連性を研究しているNPO法人「大気イオン地震予測研究会」の理事長、弘原海清・大阪市立大名誉教授が2年前に開発。現在、千葉大学、神奈川工科大学、岡山理科大学や民間の通信関連企業など全国9カ所で設置されている。
測定器は、直径約5センチ、長さ約80センチの金属製の筒状の装置。パイプで外気を吸入し、イオン濃度を5秒ごとに測定する仕組み。データはパソコン処理され、通常、30分ごとの平均値で表される。
同研究会によると、過去の地震では、発生前に1立方センチの大気中、通常は千個程度のイオンが1万個以上に急増。今月15日、和歌山県北部で発生した地震(マグニチュード4.5)では、岡山理科大学(岡山市)の測定器の数値が発生4日前の11日に5万個に急上昇したという。
四国での同装置の設置は初めて。弘原海理事長は「今後、四国や九州などで設置数を増やし、予知の精度を高めていきたい」と話している。測定情報はそれぞれの運用機関が共有し、結果はホームページ(http://www.e-pisco.jp)で公表している。
写真 徳島大学に設置された大気中のイオン濃度測定器 |