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大気中の成分の変化から地震の前兆現象をキャッチしようと、徳島大工学部の大野隆教授(物性物理学)の研究室は、同大工学部棟(徳島市南常三島町)に専用の観測装置を設置した。地震が近付くと地殻からラドンガスが放出され、大気中に拡散するという弘原海清・大阪市立大名誉教授(構造地質学)の仮説に基づく研究で、全国9か所の測定所と共同で観測、データはインターネットで一般公開する。
<本記>
弘原海名誉教授は阪神大震災時の測定データなどから、地震発生前、地殻の崩壊が始まるとラドンガスが広範囲で放出され、陽イオンとして大気中に広がるとする仮説を提唱している。長さ約60センチ、直径約5センチの管を通る空気中の陽イオンの数を計測し、30分ごとの平均値を算出する仕組み。弘原海名誉教授が理事長を務めるNPO法人・大気イオン地震予測研究会(本部・大阪市西区)から、1台を借り受け、データは同会のホームページ(HP)で公開する。
同会によると、5月15日に和歌山県北部で起きた震度4の地震では、4日前に岡山市や南あわじ市で、通常1ccあたり1000〜3000個の陽イオンが一時的に3万〜5万個まで急上昇したという。
大野教授は「南海地震の前兆をキャッチできれば被害低減に役に立つ」、弘原海名誉教授は「さらにデータを集め、測定の精度を上げていきたい」と話している。HPのアドレスはhttp://www.e-pisco.jp
写真 大気の変化で地震の予兆をキャッチしようと設置された測定装置(徳島大工学部で)
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