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大気中のイオン濃度の急上昇を測定して地震予知を目指すNPO法人・大気イオン地震予測研究会(大阪市)は、徳島市南常三島町の徳島大学など近畿以西の測定器6台すべてで、大分県中部を震源にした地震が発生した12日以前に高濃度のイオンを計測したと発表した。
<本記>
大気イオン地震予測研究会によると、測定器で計測されるイオンは通常1立方センチ当たり約1000個だが、徳島大の測定器は地震が発生する4日前の8日に5000個近くになり、9日未明には8.6倍の約8600個を記録。
10日には通常値に戻った。
一方、兵庫県南あわじ市の測定器は5月18、19日の両日、通常の75倍のイオンを測定し、今月8日には93倍の約9万3000個になった。岡山、大阪の測定器でも同日、異常に高いイオン濃度を計測したという。
研究会理事長の弘原海清・大阪市立大学名誉教授によると、地震発生前には大気中のイオン濃度が急上昇するとされている。研究会は「イオン濃度が高まる時期や震度との関係は解明できていないが、5月中旬と今月初旬の2度の異常を計測し、地震の前兆をとらえることができた」としている。
研究会と協力して5月に測定器を設置した徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部の大野隆教授(物性物理学)は「非常に興味深い値。計測し始めて日が浅いので結論づけるわけにはいかないが、今後も慎重に因果関係を見たい」と話している。 |