大気中のイオン濃度を観測することで、2004年の紀伊半島南東沖地震をはじめ、数多くの地震の前兆をとらえている。また、地震前に起こる自然や動物の前兆現象を踏まえ、身の回りで起きた異常現象を約6000人のボランティアから常時収集。イオン濃度の変化、地震の発生状況と組み合わせ、より信ぴょう性の高い市民参加型の予知ノウハウを構築している。
マグニチュード(M)7.4の紀伊半島南東沖地震では岡山理科大、兵庫県南あわじ市、神奈川県厚木市の3カ所の測定点で25日前から通常の10倍以上のイオン濃度を確認。高濃度は複数回確認されたが、徐々に数値は低くなり、平常値に戻った直後地震が起こった。
この“大気イオン地震予知法”を提唱する理事長の弘原海清さん(74)の挑戦は1995年の阪神・淡路大震災から始まる。当時、大阪市立大で活断層の調査など構造地質学に携わっていた弘原海さんは地震を予知できなかったことを悔やみ、すぐに追跡調査を実施。その中で、地震の九日前に大気イオン濃度が異常上昇していた報告を受けた。
プレートの動きなどによって地下から放射性化学物質が地表に放出されると、そこから放射性イオンが生成される。その測定が地震予知に有力と考え、転任先の岡山理科大で1998年から24時間の連続測定を行った。2003年までの5年間に岡山から300キロ以内で発生したM5.0以上の6回すべてに大気イオンの先行異常を計測した。
地震前の異常濃度の継続期間は2000年の鳥取県西部地震(M7.3)で100日、01年の芸予地震(M6.7)で7日と一般的に大規模な地震ほど長いという。この期間を「地震発生危険ウインドー」と定め、期間中にあらゆる前兆現象を検討し、防災に役立てるべきだと訴える。
04年のNPO設立後、測定器の開発も手掛けながら今では全国10カ所に測定地を拡大。大阪の事務所で一元的に管理している。また大阪大の電磁波観測ネットワークと提携するなど各分野との協力関係を築きながら事業を推進している。
今後、風力発電機といった自家発電、衛星通信などを用いて、最新の地震研究から防災対応、災害後までをカバーするシステムを各地に広めていく方針。最終的には世界中の地震予知を目指す。
また、地震は前兆現象の把握など市民一人一人の協力が必要で、弘原海さんは「みんなで地震予知をやり、国内外への社会貢献をしませんか」と入会を呼び掛けている。
大気イオン地震予測研究会e-PISCO(イーピスコ) |
理事長 |
弘原海清 |
住所 |
大阪市西区江戸堀1-4-21
日宝肥後橋中央ビル304号 |
電話・ファクス |
06(6444)3781 |
URL |
http://www.e-pisco.jp/ |
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