ePI-NET(エピネット、大阪市西区、原口竜一社長、06・6444・3780)は、地震予知に利用する大気イオン濃度測定システムの導入を進めている。地震前に大量発生するといわれる大気イオン濃度の定量測定が可能なシステム。大気中のイオンを捕集しイオン濃度(単位面積あたり個数)を瞬時にモニタリングできる測定器(写真)と、測定器とネットワーク連動しパソコンで計測データをグラフ表示するソフトで構成される。
大阪市立大学名誉教授の弘原海清氏が、97年に岡山理科大学教授時代に始めた地震予知プロジェクトがシステムの原点だ。弘原海教授は95年の阪神大震災直前に近辺で大気イオン濃度が異常上昇した事実に着目。地震と大気イオン濃度の関係を実証実験を重ねて調べ独自の地震危険予知モデルを構築した。大気中のイオン濃度は通常レベルで1立方センチメートル当たり1000−2000個だが、地震の2週間ほど前に観測地点の一定エリアで5000−数万個以上になる現象をつきとめた。
岡山理科大で弘原海教授の教え子だった2人が中心となり、地震予知を事業化するエピネットを05年4月に設立。弘原海教授が立ち上げた特定非営利活動法人(NPO法人)・大気イオン地震予測研究会(大阪市西区)およびオゴー開発(岡山市)と、地震予知用の大気イオン濃度測定システムを共同開発した。価格は200万円で、富士通の沼津工場や積水ハウスの総合住宅研究所など全国11カ所に導入される。
同社では「測定システムを各都道府県に2台ずつ計100台設置するのが当面の目標。全国ネットワーク化すれば、地震予知の精度を高められる」(原口社長)とする。週1回、弘原海教授のコメントをつけたFAXによる地震予報サービスも行っている。
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