<リード>
大気中のイオン濃度を測り地震の予知を研究している特定非営利活動法人(NPO法人)大気イオン地震予測研究会e-PISCO(事務局・大阪市西区、理事長・弘原海清大阪市立大学名誉教授)が、新潟県中越沖地震の発生前に厚木市など関東・東海の3カ所で、通常の十数倍から約100倍のイオン濃度の上昇を観測していたことが分かった。同会は「いずれも中越沖地震の前兆だったと考えている」と話している。 (原
隆介)
<本記>
地震発生や噴火前には地下の岩盤が破壊されてラドンガスが放出されることから大気中のイオン濃度が上昇すると推定されている。平常時の大気中イオンは空気1cc当たり数百個から1000個程度だが3000個を超えると異常とされる。
同会は1997年からイオン濃度を測定する研究を始め、現在は全国11カ所に大気イオン濃度測定器を配置している。
地震発生11日前の7月5日午前1時半ごろ、震源から約160キロ離れた長野県松本市で、異常前1週間の平均と比べて約26倍の1万9575個を観測。5日前の11日午後8時半ごろには、約270キロ離れた静岡県沼津市で約100倍の約7万3000個を記録した。さらに地震発生の20時間前には、約240キロ離れた厚木市下荻野の神奈川工科大学内にある矢田直之准教授の研究室に設置されている測定器で、約12倍の約9800個を記録した。
同会は松本、沼津市のイオン濃度異常について、会員に電子メールで連絡して注意喚起をしたが、地震が起きる場所については特定していなかった。現状の測定器数では、場所の特定は難しいという。同会は「今後、測定器の設置を100カ所を目標にしており、実現すれば場所の予測もできるようになるのではないか」としている。
同会はホームページで厚木市など3カ所の測定値をリアルタイムで公開している。アドレスはhttp://www.e-pisco.jp/
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