5月18日から20日にかけて、西日本各地の測定点で大気イオン濃度が急上昇、18日11時半頃には岡山・理大1測定点で24,690(個/cc)、19日09時半頃には兵庫・南あわじ測定点で75,389(個/cc)、19日19時半頃には兵庫・川西測定点で33,345(個/cc)を記録しました。また、6月8日から10日にかけても複数の測定点で大気イオン濃度が急上昇し、8日19時頃に南あわじ測定点で93,260(個/cc)、9日01時半頃には、6月1日に測定を開始したばかりの徳島測定点で8,689(個/cc)を観測しました。このほか、5月26日20時半頃には岡山・理大2測定点で80,941(個/cc)、6月6日14時頃には大阪・吹田測定点で51,635(個/cc)を記録しました。
e-PISCOではこの期間に西日本の全測定点で異常な値を記録し、しかも複数測定点がほぼ同時に異常を示したことから、会員の皆様にメールでお知らせするなど警戒を強めていたところ、6月12日05時01分、大分県西部の深さ146kmでM6.2の地震が発生、西日本で強い揺れを観測しました。e-PISCOでは一連の異常が大分県西部の地震の前兆と見られると判断しています。
今回の地震の震央と各測定点までの距離(震央距離)は、最も近い理大1、理大2測定点で290km、最も遠い吹田測定点で418kmで、距離がやや離れています。ただ、今回の地震がスラブ内地震(ユーラシアプレートの下に沈み込むフィリピン海プレート内部の深いところで発生した稍(やや)深発地震)であったことから、エネルギーが震源直上のアセノスフェア(low
V low Q層:地震波の速度が小さくエネルギーの減衰が大きい層)には進まず、フィリピン海プレート内のHigh V High
Q層(速度が大きく、減衰が少ない層)を伝わり、大気イオン濃度も震度分布と同様、震央よりも東側で強く出たと考えられます。
今回のように沈み込むフィリピン海プレート内部で発生した地震としては、平成13年(2001年)芸予地震(M6.7、深さ46km)や昭和58年(1983年)の大分県北部の地震(M6.6、深さ116km)、明治42年(1909年)の宮崎県西部の地震(M7.6、深さ150km)などがあります。
|