1日夜、大阪市立大学名誉教授で地質学者の藤田和夫先生が肺炎のため神戸市内の病院でご逝去されました。大正8年生まれ、89歳でした。藤田名誉教授は弊会理事長・弘原海清の恩師で、わが国における活断層研究の第一人者として知られています。藤田先生は、昭和37年に近畿地方に活断層が密集する理由として、プレート同士の衝突により琵琶湖の西側と東側で地質構造が大きく変わることを指摘し、丹波山地(西側)−紀伊山地(南側)−伊吹山地・養老山地(東側)に囲まれた地域を「近畿トライアングル」と名づけました。また、昭和43年に兵庫県から岡山県に延びる山崎断層を発見したほか、1995年兵庫県南部地震が発生する20年以上前の昭和49年に神戸市街地での大地震の危険性を指摘されていました。
昭和61年には「日本の山地形成に関する地質学的・地形学的研究」が高く評価され、第22回秩父宮記念学術賞を受賞、秩父宮妃殿下からおことばを賜られています。
大阪市立大退官後の昭和63年、「断層研究資料センター」を設立し、今年3月に閉鎖するまでの20年間理事長を務められたほか、阪神淡路大震災後は兵庫県阪神地域活断層調査委員長を務められました。 |